大嫌いの裏側で恋をする


このまま。

受け入れて、抱きしめられて、心地よくなってしまえたら。

(でも、どうして)

響かない。
心は、高瀬さんを前にした時みたいに踊らない。

「だけど好きなんです。ごめんなさい秋田さん、私最低だ」
「……どうして?」
「秋田さんを巻き込まなきゃ、傲慢な自分に、気づけなかった」

傲慢なの?石川ちゃん。って笑われる。

「きっと私、自分以外の全人類の恋する気持ちを侮って見下してるんです……!」


ブハっと盛大に吹き出した秋田さんの気配が、少し離れてく。

「おもしろいなぁ、石川ちゃんは。言ってることがよくわからない」

私には秋田さんがよくわかりません、と。そっと思ったことは口にはしないで。

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