大嫌いの裏側で恋をする


「と、ゆうか、ですね。秋田さん」

「今度は何?」って、笑い声を止めることができないままスマホを取り出し、それを片手に私を見る。

「恥ずかしながら、私は今わりと本心ぶちまけてみましたけど、秋田さんは全くですよね」
「へえ、そう見えるのかな?」

彼にしては、驚いたみたいに本気で見開かれた瞳。

「秋田さん、こんなクソな私に別れた奥さん見てるんでしょう? 精神すり減らして壊れていったのは、その方ですか?」

数秒の沈黙の後。

「……どうかなあ」

って、曖昧に答えてシートにもたれ肩をすくめた。
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