大嫌いの裏側で恋をする



***


なんてことない日曜の朝。

基本土日が休みなもんだから、ここ最近の週末は大体決まって〝隣の呑気な寝顔〟なる人物――石川美波と過ごしてる。

石川と付き合うようになってまだ数ヶ月の関係だが、ペアとして同じ課でやり合ってた期間の方が長かったからか。
どうにも、ずっと一緒にいたようなおかしな錯覚を覚える。

そんな相手だ。

で。

今日もここ最近の、よくある週末の朝。

そのはずだったけど。


(まあ、予定は未定っつーわけだな。 別に身を持って知りたくはなかったけどよ)

声には出さず愚痴ってやると、聞こえてたのかってタイミングで石川の声がした。


「あの、高瀬さん」

それも、あれだ。
怒ってやがる、そんな時の声だ。

「……なんだよ」

「なんだよ、ってこっちのセリフなんですけど。なんですか、起きてからずっと機嫌悪いし? ご飯食べてても無言だし? そろそろイラっときてんですけど」

朝飯を食い終わって、適当につけたテレビを眺めてる俺を睨みつける鋭い瞳。
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