大嫌いの裏側で恋をする

ふ、と。
部屋が少し明るくなった気がして窓を見た。

隙間から、少しだけ光が射す。
夏は、陽が昇るのが早いんだよね。
とか、わかりきったことをぼんやり考えて。

夜が明けようとしてるのに。

私の心は逆を行く。

さっきから噛み締めた唇が、痛い。
同じくらい、心も痛い。

変わりたいと、踠いていたはずなのに。
どうしてこうなるんだろう。
結局、大嫌いな自分。

口の中に広がった、鉄の味。
< 77 / 332 >

この作品をシェア

pagetop