『未成年』なんていらない
「それ、なんの実験ですか?」

閨川の居るこの理科室に長居したかったわけではない。ひなりは純粋に気になったから聞いたのだ。

「混合物を分離させる実験だよ。次の授業でやるからリハーサル。」

そうですか。と、ひなりは頷いた。
通常授業の時はカッターシャツを着ている閨川だが、今日は理科教師らしい白衣姿だ。
運んできたノートは華奢なひなりには重たかったが、いつもと違う閨川を見ることが出来て、ひなりは幸せだった。

「成瀬?何ぼーっとしてるんだ?帰っていいんだぞ?」

閨川の優しい呼びかけで我に帰るひなり。
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