mimic
「つ、都合のいい、って?」
「手に入れた……。ヤバい、すげー興奮する」


わたしの質問など聞かず、海月はわたしの身体を羽交い締めにする。
声はわずかに震え、上ずっているようだった。


「え、ちょっと待って……。どういう解釈したらそうなるの?」


抱き締められながら、戸惑った声でわたしが呟くと。


「小夏ちゃんでいいに決まってる。小夏ちゃんがいいの、俺には小夏ちゃんしかいないんだ」


自分の名前をこう何度も連呼されたのはたぶん、初めて。


「一生離さないから、覚悟してね」


体を離した海月は言いながら、わたしの頬を両方の手のひらで包み込み、感極まって目尻から流れた涙を親指で優しく拭った。

わたしはこくりと頷く。
だってこんなに幸せな気持ちにさせられたら……。もうほかに、望みなんてないもの。

両目を三日月みたいな形に細くした、憎たらしくらい大好きな狐に一生化かされるのも、悪くないかなって、思った。



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