mimic
「可愛い、小夏ちゃん」
「ん……、も、もう……っ」


はぐらかされてる?

でも、そんな風にされたらもう、口端から甘い吐息が漏れてしまって、頬が上気して身体がしっとりしてくるし、受け入れるしかできないに決まってる。


「ねえ小夏ちゃん、俺と結婚して?」


ほら。
そんな風に甘えた声で上目遣いに言わたら、もう受け入れるしか……って!


「え、ええ……?」
「まさか驚いてる? 動揺してる?」
「そ、そりゃあ、もちろん!」


結婚、って……。

え、嘘。

本気?


「だ、だだだって、結婚って……!」
「それって、俺とそうなることをすこしも想像したなかったっていうこと?」


自分が突拍子もなく、しかもこんな格好のときにいきなり言い出したくせに、やけにしおらしい声で海月は言った。


「いや、違……、やや、違わない、のかな?」


ずっと一緒にいたい、って思ってるけど。具体的に、結婚ってことまでは……。


「海月は、わたし、で、いいの?」


海月は実家は大会社なのに。
一方のわたしはフリーターで、とても騙されやすく性格には難あり。それに家は古民家だし、天涯孤独も同然。立場が違いすぎる。
海月の普段の世界が、想像できない。

眉間に皺を寄せ、本気で考えあぐねるわたしに対し、海月は体を抱き寄せてわたしの髪を撫でた。


「ほんとうはずっと、小夏ちゃんをここに閉じ込めておきたいんだけどね」
「……へ?」
「生憎そうもいかないし、さっきの居酒屋みたいな状況がいつまたあるかわかんないから、俺の都合のいいように解釈するけど」


耳元で、穏やかな声で囁く。
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