mimic
「え……それって唯ちゃんに、寄せてたってこと?」


わたしが尋ねると、海月の頬は西日みたいに赤くなった。


「まあ、ああいうのが好きなのかなって、意識したかも。ほら、事情が事情だから。どう攻めたらいいかって、俺なりに悩んだんだ」


どうやら狐も人の子だったらしい。
意外な可愛らしい一面を見て、わたしはたまらずぷっと吹き出す。

なんだか、すごくいいなって思った。


「わたし、海月にもっとたくさん聞きたいことがあるんだけど」
「……うん」


手を離した海月は、もうさっきの不本意そうな顔つきからいつもの柔和な笑顔に戻っていて。


「俺も、小夏ちゃんに俺のこと、もっと知って欲しいな」


わたしとの身長差にぴったりな加減で首に角度をつけると、甘く口づけた。







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