陽空〜甘酸っぱい恋の欠片見つけました~
枕に顔を埋め、声を上げて泣く。辛いよって苦しいよって。ね、朔…気づいて欲しい


「芽衣?」


「え?…ちょ、さ、朔!?」



見られた。聞かれたよね多分…お母さんもどうして言っちゃうかな。最悪。一人で泣いていたいのにどうして、朔は来るの?


「な、いてるのか?」



「来ないで、よ」


「最近おかしいぞ、急に怒ったり、泣いたり」



おかしくない、おかしくないから!!私が勝手に泣いてるんだ気にしなくていい。そう伝えたいけど、声が出ない……


急な出来事に戸惑う私、散々泣いて声上げて来ないでまで言っちゃったのに、今更声が出ないってもう、嫌だ


「芽衣、どうした」

「……。」


声が出ないって、朔に向けて口パクで伝える分からないようで何度も不思議な顔される、私の声は全く届かないから、紙に書いて見せると驚いたようにこっちを見て


「俺の、せいか?」


とだけ、私に向かっていった。悪い、そう言って家へと帰ってしまった。1人残ってため息をつく。なんで出なくなってしまったか分からないから朔に、メッセージを送った。急にでなくなった、何が原因とかまだ分からないけど少しの間朔とは距離を置くね。
言いたくもない言葉、朔と居られないんだよ?大事な大好きな人と離れるんだ、辛くて悲しくて涙が止まらない。でもどうして?声は全く出ない…


どれだけ泣いたのかな、頭の痛みに耐えながら止まらない涙を拭う。腫れてしまった目は触れるとジンジンとした痛みがする。まだ失恋した訳でもないのに泣きすぎだな、私。
それから、朔からの連絡もなく日は過ぎていった。
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