夏のソラの雪
俺の手がどんなに大きくなって、




昔より愛をたくさん持てるとしても、





結局、大好きなばぁちゃんを守ってはあげられなかった……。




ばぁちゃんが家から居なくなって、





俺は自分の名前が嫌いになった。






名前に込められた願いが……ひどく重たく感じられて、





自分には相応しくないって思ったから……。






「なぁ……ばぁちゃん」




膝の上にあった手に自分の手を重ねる。




「……俺さ、愛与で良いのかな」




ばぁちゃんの手を握ってる間は、不思議と素直になれる気がする。





好きな人を信じることも出来ず、目を逸らすばっかり。





ごめん、ばぁちゃん。

ばぁちゃんのつけてくれた名前が、どんどん相応しく無い人間になってる。





「メグちゃんはメグちゃん。……ばぁちゃんを大切にしてくれる優しい子だよ」




笑いかけてくれるばぁちゃんの顔が、恥ずかしくて見れなかった……。




好きな奴信じられなくなって、



好きでもない女とセックスして、



サッカーも中途半端に投げ出して……、



残ったもんは、相応しく無い名前だけ。
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