冷徹騎士団長の淑女教育
ふっと、アイヴァンは表情を緩める。

こんなにも自分が誰かを愛せるようになるとは、思いもよらなかった。

アイヴァンはこの想いを、クレアはもちろん、誰にも告げるつもりはない。

自分の存在は、あくまでも彼女を陰で支える守護騎士。この想いは墓場まで持って行き、永遠に封印するつもりだ。





だが、もしも許されるなら。

たった一度だけ、己の本能のままに、欲望を満たしたい。




アイヴァンは精悍な騎士の顔を崩し、一人の女を想う男の眼差しになる。

頬から離した手を、そっと彼女の後頭部にあてがった。

掌には、先ほど触れた彼女の胸の感触が残っている。

溶けるような柔らかさに気後れしそうだったアイヴァンの心の内を、クレアは一生知ることはないだろう。


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