冷徹騎士団長の淑女教育
それから、クレアの王女としての城での日々がはじまった。

テーブルマナーから式典の細かい所作に至るまで、アイヴァンに事細かに躾けられていたクレアは、何も困ることはなかった。

それどころか宮中を出歩く女性たちの何倍も気品に溢れていて、行く先々で人目を引いた。

長年邸にこもってばかりの箱入り娘だったのが嘘のように、クレアは社交的な手腕も発揮した。

お喋り好きのレイチェルの相手を日々していたのが功を結んだのか、それとも誰にも馬鹿にされてはならないというクレアの意気込みがそうさせたのか。

突如現れた王女の完璧なまでの立ち居振る舞いに、上流階級の人々は圧倒されていた。





「やあ、クレア。いや、もうシャーロット王女と呼んだ方がいいかな。王女風情が、すっかり板についてきたね」

エリックは、クレアのもとにときどき姿を見せた。

王妃デボラの陰謀でフィッシャー家は王家から長年警戒されていたが、真犯人の出現によってすっかり誤解が解けたらしい。

もともと気さくな性格同士なのもあって、ハワードとはすっかり茶飲み友達になり、今ではクレアの結婚相手になるのではと国中に噂が立っているほどだった。
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