君等の遺した最後の手紙は。(仮)

次に目が覚めたのは世界中でよく使われているトークアプリの通知が3件ほど溜まった頃で、晴華ちゃんからのメッセージにより体を起こした。

いい匂いがする。どうやらお姉ちゃんも帰宅し、料理をしているようだ。
うちの母親は私が風邪を引いていることなんて知らず、どっかの男とほっつき歩いているのだろう。
父親が帰ってきて殴られやしないかと不安に思う。

頭はずきずき痛むが昼間よりはマシなので、友達からのメッセージに返信していく。

愛桜依『みゆち、今日休んでたけど大丈夫ー?』
miyuu✳〔うん!大丈夫だよ!ちょっと熱出しちゃったみたい…(;´∀`)〕

ito-aya『(´・д・)だいじょうぶ?』
miyuu✳〔((* •̀ㅂ•́)و✧大丈夫!〕

ハルカ❀『みゆう!!!!やばい!!!!』
miyuu✳〔どうした?!?〕

晴華ちゃんからのだけ用件が違うようで不安になる。

ハルカ❀『今日体育会の実行委員決めたんだけどね、みゆう…実行委員に決定しちゃった…みゆうみんなからの人望めっちゃ厚いからね…流石だけど大丈夫?』

予感的中。

体育会実行委員。
それはダンス委員等のようには人気がなく、クラスから男女一人づつで、1クラス総まとめしなければならないらしく、やり甲斐はあるがとてつもなくめんどくさい仕事らしい。

だけどならされてしまったからにはするしかない。
中学の時も半無理やり学級委員長とかにはならされてきた。
だからなんとかやっていけるだろう。
そう思って
miyuu✳〔大丈夫だよ!なったからには仕方ない( ;꒳; )〕
こう返す
ハルカ❀『ごめんね(^_^;)人望厚いのはいい事だしなんか否定しにくくてさ(^ω^;)事実だし〜』
miyuu✳〔ヾ(・д・`;) チガウヨ全然なんだけどなんかありがと!〕
きちんと否定しといて、その上でお礼を言う。
この定義は女子として過ごしていたら自然に身につくスキルだと思う。
謙遜し合うのはめんどくさい。会話も長くなるし、ただめんどくさい。


女子の定理は義務教育の9年間できちんと手に入れたはずだ。
そうでないと多分今ほど友達が居ないはずだ。

気づけば晴華ちゃんは私のことを呼び捨てで呼ぶようになっていた。今まで親かお姉ちゃんくらいからしか呼び捨てにされたことがないから何だか照れくさくて、ほっと赤面しそうになる。

だけど晴華ちゃんと私の距離は、一方的に晴華ちゃんが詰めてくるだけで、こちらからの距離は何ら変わりない。

『誰も信じない』そう決めたから。


その決まりは案外ちゃんと自身で守られており、自己防衛の為の得策なのだ。距離が近すぎると傷つけたり、傷ついたりする数がふえてしまう。
それが嫌だから、私はちゃんとみんなと同間隔の距離を置く。


人の痛みなんて知りたくもないし、知られたくもない。
だからそっと包み込んで隠し続ける。
もう既に距離が近い人にはバレてしまっているのだが。


今日はなんだか心が病みやすい。
心身はリンクしてるんだなって改めて思う。

もうとりあえず今日は寝続ける。


世界が滅亡するか私が死なない限り、ちゃんと「あした」は来るのだから…。
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