約束~悲しみの先にある景色~
悲しいかな、学活の時間を告げる、これ以降に登校した人は遅刻と判断されるあのチャイムが鳴り響いた。


話し込んでいるうちに、25分になってしまった様だ。


「はーい席つけー。ほらほらそこ、席つけー。…席つけって言ってんだろさっさと席つけ」


そして、そのチャイムが終わるか終わらないかのうちに、かなり個性の強い男性担任の郷(ごう)先生がそう言い始めた。


「やば、前向くねきっき、また後で!」


「あ、うん!後でおすすめの曲教えるから!」


私は輝星の手をやんわりと振りほどいて前を向き、周りが静かになって学活が始まる直前に荷物整理を終わらせた。


(間に合った……荷物整理、終わったぁ……)


個性が強くて独特な郷先生は、怒るポイントがいまいち分からない。


この前は、私と同じく荷物整理が遅れた生徒が郷先生に怒られていた。


だから、それを回避出来た私の安堵心は計り切れない。



「はーいそれじゃ学活始めまーす。きりーっ……待て。中田、座れ」


そして、郷先生は学活を始めようとして急に智和の名前を呼び始めた。


私の、すぐ後ろを見ながら。


私や他のクラスメイトが何事かと思ってそちらを見ると、


「輝星、俺にもpromiseについて教えてよー」
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