約束~悲しみの先にある景色~
「ちょっと話したい事があるんだ。……色々考えたんだけど、ガクヒョンの影響もあって今日じゃないと嫌だなって思ったから…、話すね」


「…はい、」


(何だろう?)


私は体育座りの姿勢を少し緩め、トユンさんが
声を発するのを待った。



「最初に言っておきたいんだけど、俺は……、俺は、多分瀬奈ちゃんが望んでる様な義兄じゃない」


(……?)


「俺には妹が2人居て…ユナとサラ。1回会ったよね。……その2人と俺ね、犬猿の仲っていうか……、色々あってすっごい仲が悪くなっちゃったんだ」



トユンさんの紡ぎ出す言葉は長くて残酷で、私には信じられなくて、彼は隣で震えていて、それでも彼は話す事を止めなかった。






元々キムさん達一家は、韓国に住んでいた。


日本人のキムさんのお陰で、キムさんと2人の妹達は日本語と韓国語の両方が堪能だった。


そんなある時、中学生にして端正な顔立ちでスタイル抜群だったトユンさんは、韓国の都心で日本の事務所の人から声を掛けられた。


元々ダンスを習っていて歌を歌うのも好きだった彼は、即刻でその事務所に入る事を決意。


それからは、学業と仕事を両立させながら日本と韓国を行き来する多忙な生活が始まった。


ハーフだけれど生まれも育ちも韓国だったから日本語の読み書きが余り得意でなかった為、彼は必死で日本語の勉強を始めた。
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