約束~悲しみの先にある景色~
光溢れる空間の中、“Truth”を歌っている楽人さんがお兄ちゃんの手を引き、頬に幾重にも涙の跡が残るお兄ちゃんが安心した様に笑って、到底演技とは思えない澄んだ涙を流したあのMVの情景を思い出しながら。


この歌詞を私に例えると、“僕”は私で、“君”は紛れもなくお兄ちゃんだ。


私が幼い頃から助けを求めてきた兄は、夢ではなくて現実に居る。


『過去に何があったって、瀬奈ちゃんは瀬奈ちゃんだから…それは変わらないからっ!』


傷だらけの私も、今こうやって笑えている私も、全部が私の一部だ。


(楽人さんのお腹の傷の“北斗七星”みたいに、いつか私も自分の傷を“頑張った証”として捉えられるといいな……!)




今の気持ちをそのまま代弁した様なその歌詞は、リビングに響いて溶けて消えた。
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