約束~悲しみの先にある景色~
けれど、まだ包丁を肩に突きつけられないということは。


(まだ、お仕置き続くんだ…)


そう、ぼんやりと考えていると。


「来いって言ってんだろ!お前の耳は無いのか、え!?ふざけんじゃねぇよ!」


痺れを切らしたお父さんに、今度は腹部を殴られた。


「うっ……!?」


何とか吐き気を堪え、


「ご、めんなさい…!」


と、私は慌ててお父さんの指定した場所へと移動した。



テレビが置かれた例の部屋に移動した私の足を、お父さんは当たり前の様に自分の足で引っ掛けて私を転ばせる。


「!?」


そして尻もちをつき、未だに怯え続ける私に、お父さんは。


「脱げ」


「服を、今すぐ脱げ」


そう、命令してきた。


(…!?)


何故、私にそんな事をさせるのか分からないけれど。


「は、はいっ…」


私は、震える手で自分の洋服を脱ぎ始めた。


まずは、長袖から。


長袖を脱いで、邪魔にならない様に部屋の端に置く。


その後、若干の恥ずかしさを覚えながらも長ズボンを脱ぎ、これも部屋の端に置いた。


露わになるのは、お父さんにつけられた沢山の傷跡と、痣。


「これで、良いですか…?」


ビクビクしながら、そう尋ねると。


「下着も脱げ」


そう、言われた。


「え……?」
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