迷子のシンデレラ
あの日、病院を退院した日。
無理にでも会いに行っていれば。
携帯なんかじゃなく、会いに行けば良かったんだ。
肝心なところで……僕は……。
体調が芳しくない彼女の迷惑を顧みず無理に会いに行って嫌がられることを恐れた。
勤めている会社も住んでいる場所も知っているからと高を括って落ち着いたら会いに行こうと思ったのだ。
しかし、そのどちらともから姿を消した。
後になって調べてみると彼女には両親がおらず、身寄りがないことを知った。
今さら知ったところで彼女の力になることは出来ない。
それから一年近くの歳月が過ぎても彼女を見つけることは出来なかった。