迷子のシンデレラ
「見えていなくても甘美な唇だってことはよく分かった。
もう一度、味見してみてもいいだろう?」
彼の唇は智美とのキスで濡れ、色っぽく艶めいて目のやり場に困ってしまう。
それなのに一度見てしまった視線は唇から逸らせずに視線は縫い付けられたように離せない。
彼は見せつけるように濡れた唇に舌を這わせた。
ハッとして我に返っても遅かった。
目を奪われていたことは見破られていて、弄ばれたのだ。
彼の瞳が獲物を捕まえた獣のように怪しく揺らめいた。
近くで見つめる彼の瞳は黒と見紛うほどに深いエメラルドグリーン。
智美は神秘的に瞬く瞳に吸い込まれるように目を閉じた。