愛しい君を殺したのは誰?
『隼人、ありがとう…』

奏は久しぶりに、少しだけ微笑んだ。

僕も微笑みながら、奏の頭を愛おしい気持ちで優しく撫でた。

何にもわからなくていい、今は僕の傍に居たらいい、子どもの時からそうだったように、僕が奏を守るから。

奏の荷物は最小限だった。

元々使ってなかった部屋を綺麗に掃除して、奏を迎え入れた。

布団も急いで買いに行った。

よく眠れるよう、店員さんにアドバイスされるままに、結構良い値段の布団セットを買った。

奏がゆっくり眠れるなら、値段なんていくらでも良かった。

奏も、部屋を気にいってくれたようだった。

間取りは、奏の部屋と、僕の寝室。

寝室と言っても、3畳ほどの狭いスペースだけど…

後は小さなキッチンが付いたリビング。

家にいる時のほとんどはリビングのソファにいたから、これからどうしよう…

なんて、考えることも必要なかった…

奏も自然にリビングに来て、いろいろ話をしてくれた。

まるで、先生の死を、頭の全てに張り付いたむごい記憶を、急いでリセットするかのように…










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