愛しい君を殺したのは誰?
なぜ、先生をクローゼットの中に入れたのかなど、疑問は残ったようだが、結局、警察は、新たな物証を見つけることが出来ず、先生を殺したのは、強盗の仕業と結論づけた。

奏も、まだホテル暮らしだ。

僕は、事件が終わったこともあり、奏に勇気を出して言った。

『ずっとホテルに泊まる訳にもいかないだろ、僕のところに来ないか?』

体が震えた。

胸の鼓動が、大きな鐘の音みたいに聞こえるかと思うほどに、大きく打った。

『隼人…私、もう、何がなんだかわからない。しばらく一緒にいてくれる?』

奏が、僕の胸に飛び込んできた。

思いがない行動に、僕は、思わず奏を押し返した。

せつなそうに僕を見る奏。

『いつまででも、奏の気が済むまで居たらいいよ』

あえて、素っ気ないふりして後ろを向いた。

奏が僕に抱きついたら、心臓の音が直接伝わるだろ、そんなの、恥ずかし過ぎるよ。





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