愛しい君を殺したのは誰?
何度もカメラに映るとまずかったから、あらかじめ奏の家に下見に行くことは出来なかった。

だけど、奏との会話でだいたいの部屋の位置はわかっていた。

僕は、すぐに書斎に向かい、仕事中だった先生を…

殺した。

そして、クローゼットに隠した。

少しでも、犯人が力の強い男性だと思わせたかったからだ。

1階と2階だから、大丈夫だとは思いながら、万が一にも、奏に気づかれないように、先生が声を出せないよう、素早く行動した。

髪の毛が落ちないように、シャワーキャップもした。

足のサイズがわからないように、外の足跡も消した。

すべて、うまくいった…

そして、奏から連絡が来た。

奏が僕を頼ることへの自信は、100%あった。

僕はすぐに駆けつけ、そして、部屋を捜索する振りをして、万が一のために指紋をつけて回った。

もちろん、犯行時、手袋はしていたんだけど…

僕も絶対捕まるわけにはいかなかったから、慎重になった。

だって、僕がいなくなったら、奏を守れるやつが誰もいなくなるじゃないか。

警察が奏を疑っても、女の力では無理と決め付けてくれるように、首をしめて殺したし、もし僕が疑われても、証拠は何ひとつないことに自信があった。

奏を守れた…

僕は…

後悔などしていなかった…





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