愛しい君を殺したのは誰?
絵本の中の君
そうだ、忘れていた…

もう1つ、僕は、奏を守ったんだ…

あの女。

奏を1番苦しめた、最低なやつ。

母親に対する純粋な子どもの愛情を簡単に踏みにじり、自分の苦しみや寂しさを、奏にぶつけた…

あの…醜い悪魔。

あいつも、僕が抹殺してやった。

すべての元凶のくせに、奏がお金持ちになった途端、また奏に近寄って来たあの悪魔。

僕が、行きたくもない田舎に行ったのは、あいつを殺すためだった…

奏の母親は、都合よく、家にいてくれた。

最低な悪魔を抹殺するのは、いとも簡単な作業だった。

家の床下に埋めるのには、少々手間取ったが、それでも、悪魔から奏を守れたことに、僕は満足したし、子どもの頃からの深い憎しみをやっと晴らせた気がしたんだ。

お前のせいで、奏は…

男性の力と、恐ろしい思考を持ち合わせる、多重人格者になってしまったんだから。
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