Open the door -運命の彼は日本代表?-

相澤家の愛犬、ミニチュアダックスフンドのロク。

くりくりとした瞳に艶のある茶色の毛並みは、可愛らしくって仕方ない。

だけど警戒心がものすごく強くって、他のスタッフがハナエさんを家に送る時にうるさい位に吠えて大変らしい。

だから、この時間帯はいつも部屋の奥にあるゲージに入れられているそうだ。

これはハナエさんからの相澤家のミニ情報。

そんなロクは、私にだけはなぜか吠えずに、しっぽまで振ってくれる。



「環奈がワガママばっかりでごめんね。環奈もみなみちゃん以外のスタッフの方がおばあちゃん送り届けてくれる時は人見知り全開なのよ」

玄関先で環奈ちゃんと一緒にロクを触っているのを見ていた菜那さんがふと、口を開く。

「だから、みなみちゃんを瑛人のお嫁さんにしたいのよ」

私が返事をするよりも早く、ハナエさんが口を挟んだ。

「そりゃ、みなみちゃんが妹になってくれるなら私も嬉しいけどね」

「ハハハ、光栄です」

本心なのか、リップサービスなのか。

お客さんからの冗談をかわすことは3年間で上達したけれど、家族からのリップサービスへの対応はまだまだ上手くは出来ない。

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