Open the door -運命の彼は日本代表?-
「俺は、冗談でそんなこと言わない」
私が言葉を失って魂抜かれたみたいに身動ぎできずにいることに気が付いた瑛人さんも、私にならって足を止める。
ゆっくりと振り向いて、私が濡れないようにと傘を差しだした。
私に向ける視線は柔らかくて、その仕草はスマートで、手慣れている。
どうしてそんな目で私を見るの?
軽くて、意地悪で、自己中な男なんじゃないの?
胸の鼓動が急加速していく。
「みなみ、濡れるぞ。ほら、行こう」
そう言いながら、私の腰にそっと手を当てた瑛人さんの手は温かい。
冷たいはずの雨に反して、この傘の中だけは熱くって仕方ない気がするのはきっと気のせいじゃない。