Open the door -運命の彼は日本代表?-
「私の孫は、確かもう25歳よ」
「25歳なら、私と同じ年齢ですね」
信号が青に変わると、小林さんご夫婦はすでに他の話題になっていた。
2人の会話に入らず、助手席で上品に微笑みながら私に話しかけたのは、ハナエさんだ。
「お孫さん、確か関東で暮らされているんですよね?」
「そうなの。大学に入ってから、ずっとあっちに住んでいるのよ。帰省するのはお盆とお正月くらいかしら」
「……でもね、帰ってきても『予定がある』って言って、なかなか家にはいないのよ、あの子」
ハナエさんの小さな溜息は、淋しさ半分、嬉しさ半分に聞こえた。
「ハナエさん、今度お孫さんが帰ってきたら紹介してくださいね」
「もちろんよ」
相澤さんは、私の言葉に嬉しそうに目を細めた。