胎動
好きなものを好きなだけ食べて、お腹いっぱいになるつもりらしい。


「夕夏は?」


教室内を見回してみても夕夏の姿がなくて、梓へそう聞いた。


「隣のクラスで食べるって。どうせあの写真をみんなに見せたいんでしょ」


梓はそう言い、さっそくチョコレートを食べ始めた。


幸せそうな顔をしている。


「悪魔山なんて、本当なのかな」


あたしはお弁当に箸を伸ばしながら、そう呟いた。


「嘘に決まってんじゃん。落石とかで危ないから子供が近づかないように、噂を流したんじゃない?」


確かに、そういうものは多いみたいだ。
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