胎動
あたしは優しい口調でそう言った。


あたしは、まだ梓は夕夏には両親が他界していることを伝えていない。


いつか言うかもしれないが、無理に話す必要もないと思っていた。


「そうなのかな」


夕夏は寂しそうな表情を浮かべている。


「妊娠なんてデリケートな話なんだから、もうちょっと待ってあげたら?」


梓にそう言われ、夕夏は納得したように頷いたのだった。
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