胎動
マットに寝転んで大きく息を吸い込むと、埃を吸い込んでしまって咳き込んだ。


この埃っぽさだけはどうにかしてもらいたいけど。


そう思いながらスマホを取り出した。


2年A組のグループラインを表示させると、数人のクラスメートたちが参加していた。


《梓:悪魔が封印されてる山があるって知ってる?》


《夕夏:知ってる! 結構有名な山じゃん?》


《透:悪魔に願い事をすれば叶えてくれるっていう噂の?》


噂好きの3人の会話にあたしは心が柔らかくなっていくのを感じた。


こうして友人たちの会話を見ているだけで、さっきまでのギスギスとした気持ちが消えて行く。


《友里:悪魔って本当にいるの?》


《梓:いるよ! たぶんね笑》


《透:悪魔に願い事をすると子供ができるんだってな》


《友里:子供?》


《透:うん。その子供は一週間くらいで生まれてきて、母親の願いを叶えてくれるらしい》


へぇ、そういう噂なんだ。


思ったよりもオカルト寄りで、背筋が寒くなる。
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