胎動
怖い話は苦手だった。


だけど、友達の会話にはついつい入って行ってしまう。


家に居場所がないのに、学校内でも居場所がなくなってしまったら困る。


「お母ちゃん」


「え?」


不意に聞こえて来た声に反応し、周囲をみまわした。


変わらない部屋が広がっているばかりで、誰の姿もない。


小さな窓から外を確認してみても、大通りには猫1匹も見当たらなかった。


気のせい?


あたしはそう思い、再びマットへ寝転んだのだった。
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