私の中にキミがいる限り
そう考えると、どうしても言う事ができなかった。


犯人は身近にいるとわかっているのに……。


友人たちに囲まれて教室へ入ったあたしは「ごめん、まだ体調が良くないから」と一言伝えて自分の席についた。


周囲から人がいなくなるとようやく安心することができる。


みんなを遠ざけているという申し訳なさはあるけれど、今は自分の身を守る事が先決だ。


あたしは普段の何倍も時間をかけて、教科書やノートを机の中へとしまっていったのだった。
< 22 / 216 >

この作品をシェア

pagetop