私の中にキミがいる限り
☆☆☆

それでも、友人関係には避けられない時もある。


それは休憩時間とか、昼休みとかだった。


15分の休憩時間はまだいい。


適当に相槌を打ち、適当に返事をすればいいんだから。


だけど、昼休みはそういうわけにもいかなかった。


一緒にご飯を食べて、一緒に騒がないといけない。


1時間休憩が長いと感じ始めたのは、サイトを乗っ取られてからだった。


「美紗、ご飯一緒に食べるでしょ?」


机をくっつけて準備を始めている友人に声をかけられて、ギクリとする。


1時間も相手の顔色をうかがいながらご飯を食べるなんて、今のあたしには無理だった。


「ごめん。あたし体調が悪くて……保健室に行って来るね」


できるだけ自然にそう言った。


友人は眉を寄せ「大丈夫? 一緒について行こうか?」と、声をかけてくれる。


あたしは慌ててそれを断った。


「大丈夫大丈夫。良くなったらすぐに戻って来るから」


あたしはそう言い、お弁当の入っている鞄を持って教室を出たのだった。
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