キミガ ウソヲ ツイタ
照れくさそうにそう言った葉月があまりにもかわいくて、俺のことを知っていてくれたことが嬉しくて思わずギュッと抱きしめると、葉月は慌てて俺の体を押し返した。

「もう!あかんて!」

「そんなこと言ったって嬉しくて……!葉月、ありがとう!めちゃくちゃ好き!」

「それでも恥ずかしいからあかんのー!」

この勢いで今夜はベッドで抱き合って朝まで一緒にいられるんじゃないかなどと思ったけれど、そんな淡い期待と下心は見事に打ち砕かれた。

恥ずかしがりやの葉月はこれまでの彼女とは違って何をするにも時間がかかり、俺を名前で呼べるようになったのは1か月以上も経ってからで、デートのときも手を繋がせてくれなかったし、もちろん簡単に体を許したりはしなかった。

俺は母親の影響もあって浮気だけは絶対に許せないし、付き合っていなくてもその場の雰囲気とか軽いノリだけで体の関係を持つ人間には嫌悪感を抱いていたから、葉月の身持ちが固いところもいいなと思った。

葉月に無理をさせないようにゆっくりと距離を縮め、抱きしめたりキスをしたり、時間と共に少しずつ触れ合えるようになり、ようやく初めて葉月と結ばれたのは付き合い始めてから3か月もあとのことだった。




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