模擬彼氏
「有難う。」

車を降りると、寺原が私のバッグを持ってくれる。

いつも寺原は、私が部屋に入るまで、バッグを持って後を付いて来てくれる。


家の中央の階段を2階まで昇って、一番手前が私の部屋だ。

「お嬢様、お荷物ここに置きますよ。」

寺原は、私のカバンを机の横に置いた。

「では、失礼します。」

「お待ちなさい、寺原。」

部屋を出て行こうとする寺原を、私は呼び止め、さり気なく手招きした。

そーっとまた部屋の中に入った寺原は、私の前に立つ。

「はい。」

「ねえ、正直に答えて。一度も恋愛した事ない女と結婚するって、どんな気持ち?」

「ああ、俺しか知らないんだと、優越感に浸ります。」
< 14 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop