模擬彼氏
次の日の朝。

私は終始、笑顔だった。


「お嬢様。今日は、ご機嫌がよろしゅうございますね。」

「そう?」

髪をとかして貰う、メイドにも分かるくらいの、この笑顔。


今朝、寺原に起こされる前から、楽しみで仕方なかった。

『お嬢様、起きる時間でございます。』

いつもは、眠い目を擦り、寝返りを打って背中を見せてまで、あと5分くらい寝かせて貰うのだが。

今日は寺原の一言で、そーっと薄目を開けた。

メイドにバレないように、『起きてたな。』と言う寺原のあの顔。

あれを見てから、ずっと笑顔が止まらない。


「お嬢様。寺原さんと、何かあったんですか?」

「えっ?」

服を持って来てくれたメイドの祈子に、急に聞かれた。
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