模擬彼氏
そして車は案の定、いつもより早めに、大学に到着した。

「あ~あ。もう着いちゃった。」

私は、大きく背伸びをした。

寺原は、車を道路の脇に駐車させたけれど、一向に車を出る気配がない。


「ねえ、圭一さん。」

私はシートベルトを外して、運転席にいる寺原に近づいた。

「どうしていつもより、早く家を出たの?見たところ、全く道路も混んでなかったし。予想が外れたんじゃない?」

すると寺原も、シートベルトを外して、後部座席にいる私の方に、振り向いた。

「別に。混んでると思って、早く出たんじゃない。」

そして寺原は、私の頬に、右手を添えた。

「少しでも、紗雪と会う時間を、作りたくてさ。」

「圭一さ~~ん!」

この時の私は、寺原の事を、なんてよくできた”執事”としてか、考えていなかった。
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