模擬彼氏
リクエストねぇ……

でも、どこに行くのかも、分からないし。


「分からない。」

『分かんない?』

「だって、デートした事ないから。」


広がる静寂。

もしかして、寺原……

呆れた?

恋愛経験はなくても、男の子と遊びに行った事は、あると思っていた?


『分かった。じゃあ、日曜日までに決めておくから。楽しみにしてて。』

「うん。」

馬鹿にされると思ったのに、意外に優しい言葉をかけられた。

「ごめんね。私、大学生になるのに、お子様で……」

すると電話の奥から、寺原の笑い声が聞こえてきた。

『いいんだよ。俺がいろいろ、教えてあげるから。』

「うん……」

電話を切った後も、耳元に残る甘い声。
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