模擬彼氏
ああ、よかった。

執事は他にたくさんいるけれど、寺原を選んで。


「ねえ、圭一さん。」

『ん?』

優しい声。

ううん、寺原はいつも優しい。

「変な事、頼んじゃってごめんね。」

本当はこんな事、執事の仕事じゃないのに。

『変な事?』

「ああ、その……恋人の真似をしてって事。」

『その事か。』

寺原は、全然気にしてないように、答える。

『気にするなよ。俺、これでも楽しいし。』

自然と笑みが零れる。

「だったら、いいの。よかった。」

『だろう?』

何気ない言葉に、思いやりが感じられる。


『じゃあ、日曜日に。』

「うん。」

そして私は、初デートの約束をして、電話を切った。
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