模擬彼氏
玄関に着いた私は、ある事に気づく。

一緒に出掛けるはずの寺原が、私を見送る執事の列に、並んでいるのだ。

「お嬢様、本日の待ち合わせ場所まで、車でお送り致します。」

「へ……」

待ち合わせ場所って、私、聞いていないんだけど。


「あれ?寺原さん、今日お休みって、言ってませんでした?」

祈子が、私のカバンを持って来てくれる。

「お嬢様をお見送りしてからではないと、私の休日は始まらないんですよ。」

寺原が、祈子からカバンを受け取った。


「行ってらっしゃいませ。」

執事達が一斉に、頭を下げる。

「あっ、行ってきます。」

どこに行くのかも分からない私は、とりあえず玄関を出る。
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