模擬彼氏
その時だった。

「お姉さん、一人?」

振り返ると、随分息遣いの荒い、おじ様が隣に立っていた。

「ううん。ここで、執事を待っているの。」

「うほっ!」

私が答えたら、このおじ様、物凄く喜んでいる。


「執事って事は、お姉さん、お嬢様なの?」

「はい。」

するとおじ様の呼吸が、余計に荒くなった。

「あの、そんなお姉さんに、お願いがあるんだけどね。」

「はい。私でできる事があれば。」

私は、そのおじ様と向かい合った。

「その執事さんが来るまで、おじさんと……」

その瞬間、おじ様の手が、私の右手を掴んだ。


「はい、そこまで!」

後ろから声がして、振り返ると寺原が立っていた。
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