模擬彼氏
でも、寺原は違った。

なんだか、寂しそうな顔をしている。

「そうでした。模擬試験ならぬ、模擬恋愛ってね。んでもって、俺は模擬彼氏。」

「あのね、圭一さん……」

私が寺原の腕を、掴もうとした時だ。

スーッと寺原の腕は、私の手を通り抜けて、ハンドルに行ってしまった。

「じゃあ、行きますか?」

そして車は、コンビニを出た。


しばらくは、二人黙ったまま。

新緑の眩しい木々が、次から次へと、すれ違って行った。

「ねえ、圭一さん。今日は、どこに行くの?」

私は静寂を打ち破って、寺原に話しかけてみた。

「うーん。いろいろ考えたんだけど、ベタに映画とかどうかなと思って。」

「映画!?」

私は寺原の方を向いた。
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