模擬彼氏
周りの執事達は、そんな彼を見て、笑いを堪えていた。

『寺原。いい役割だな。』

『そ、そうなんすか?』

お人形さんを持って、彼は困惑していた。

『寺原。ただの子供のお守りじゃないぞ。お嬢様の遊び相手だからな。』

『は、はい……』

私のおもちゃ部屋で、二人きりになった彼は、大きなため息をつきながら、床に胡坐をかいて座った。


『お兄ちゃん、お人形さんごっこ、嫌い?』

『嫌いじゃないけど……』

『じゃあ、ずっと紗雪と遊んでくれる?』

『はい……』

『ずっと、ずっと、ずっと?』

兄妹のいない私には、唯一の遊び相手だった。

『はい!ずっと、お嬢様の側にいます。』


そう言って、満面の笑顔を見せた彼。
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