模擬彼氏
「お嬢様……」

伝わったか、分からない。

私は再び寺原に背中を向けると、自分の部屋へと入って行った。


小学生の時。

執事のアルバイトに来ていた彼は、まだ高校生だった。

『お兄ちゃん、何て名前?』

『寺原圭一と言います。紗雪お嬢様。』

まだ執事の服を、着慣れていない彼は、他の執事とは違っていた。


『お兄ちゃん、紗雪と遊んでくれるの?』

『はい。何をして遊びますか?』

私はたくさんある人形のうちから、一つを彼に渡した。

『お人形さんごっこ。お兄ちゃんは、お友達役ね。』

『えっ!?』

まさか高校生になって、お人形さんで遊ぶとは、彼も思っていなかっただろう。
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