かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
とはいえ、どれだけ歳を重ねても、彼との歳の差は縮まない。

せっかく私が二十代半ばになったというのに、彼はもう三十歳で、またひとつ届かない先へ行ってしまった気がする。

それどころか、もしかしたら、もうそろそろ結婚を考えている相手くらいいるかもしれない。

入籍でもしたら、真っ先に噂を聞きつけたお母さんが教えてくれるだろうから、まだ独身のままだとは思うのだけれど。

私にしたい話っていうのが、入籍の報告だったりしたらどうしよう。

思わず心がズンと重く沈む。可能性としては、一番高いだろう。

……せめて約束の日は、まだ子どもって思われないように、目一杯大人っぽく着飾って、おしゃれしていこう。

期待と不安を胸にかかえ――不安が九割だけども――私は落ち着くことも出来なくて、夜な夜なクローゼットを開けるのだった。
< 8 / 218 >

この作品をシェア

pagetop