マイ・ディア・タイガー



「そうなんだ。だったら問題ないと思うけど、気を付けた方がいいかも」

「え?」

「女テニだった3年生の先輩に莉々の事聞かれて…分かんなかったから知らないって言ったけど、何か木村先輩がめっちゃ気にしてるらしいよ」

「木村先輩…」

「ほら、3年の綺麗な人。虎頭先輩の元カノ」


小心者の私は、それだけでとても不安に駆られた。

お、終わった…。

私の平穏な学校生活が、今後の事を想像すると音を立てて崩れていく。



先輩に相談しようかと思ったが、先輩が嫌な顔をするのは何となく想像できた。

その顔を浮かべていたら、先輩に相談する気は失せた。


先輩の迷惑になる事だけは、できるだけ避けたい。自分で対処できる事は、自分で何とかしよう。そう決心し、身構えていたのだが。



しかし次の日も翌日も変わった事は何もなかった。

相変わらず先輩とは時々一緒に帰ったが、同学年の女子から軽く聞かれる事はあっても、女子の先輩に虎頭先輩との事を聞かれたり、そのために呼び出されたりする事はなかった。



想像するだけで胃が痛くなったりとか、いざ呼び出された時はなんと説明しようだとかをずっと考えていたので、少し拍子抜けした。けれど何もないならそれ以上のことはない。私は心底ほっとした。






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