マイ・ディア・タイガー
その日をきっかけに、何故か捻挫が完治してからも週に1〜2回程、虎頭先輩が部活に顔を出した日には何故か一緒に帰る流れになっていた。
もう完治したので大丈夫です、と伝えようと思ったが、よく考えれば先輩はただ帰り道が同じ方向で、何となく帰りが一緒になっているだけなのだ。
先輩にとったら、送っているという気はないのかも。私がわざわざ遠慮するのも、自惚れみたいでおかしいか。
ただ、先輩は自転車通学で、最初は前のように「乗れば?」と聞いてきたのだが、「自転車の二人乗りはやっぱりいけない事なので…」と断ると、先輩は私と一緒に帰る時は自転車に乗らず、わざわざ引いて歩いてくれている。
申し訳なく思い、「私に合わせて歩くと遅くなってしまうので、先に帰ってもらって大丈夫ですよ」と伝えたが、それでも先輩は自転車を引いて私の隣を歩き、部活の話をする。
先輩の気まぐれだ、その内飽きるだろうと思っていたが、1ヶ月が経ってもその様子はない。
夏休みが明ければどうだろうと思ったが、それでも週に何度か先輩と一緒に帰る流れは続いていた。
そしてついに、恐れている事が起きた。
「莉々、3年の虎頭先輩と付き合ってるの?」
「ええっ!?」
「最近一緒に帰ってるよね?」
「つ、付き合ってないよ!」
同じクラスの友達に聞かれ、私は慌てて否定した。
虎頭先輩の事は、本当に仲のいい友人にしか話していない。
自転車に乗った時も歩いている時も、出来る限り下を向いて顔を見られないようにしているつもりだ。
でももう知られてしまっているとは…私なんかが先輩と付き合ってるなんて、おこがましい。でもなんと説明したらいいのだろうか。
「あの、捻挫した時に心配して送ってくれたの。それからは、その、たまたま、ほら、先輩部活の事気にかけてくれてて、部活の報告とかしながら帰ってるだけで…」
苦しい言い訳かに聞こえるかもしれないが、今の私は自分の身を守る事に必死で頭が上手く回転しなかった。