Beast Love
「丁寧なご説明、ありがとうございました」


「いえいえ、とんでもないです」


オタクくんの上にのしかかったまま、思わず深々と頭を下げた、その時だった。



「お前が、新しい転校生の女か?」


突然、グイッと顎を持ち上げられ、鼻腔には香水の良い香りが漂う。


「えっ、ちょ、いきなり……」


目の前には、あのなんとも言えぬ迫力を兼ね備えた鳳凰 正人がそこにいた。

「なぁ、さっきの言葉は本当なんだろうな?」


綺麗に整った顔立ちに、思わずドキリと心臓が跳ね上がる。


「な、なにがですかっ」


っていうか、顎! 顎が!

指に鼻息がかかってしまう!


なんかごめんなさい! 離して欲しい、切実に!


「さっき言ってた、『好きでもない男とそういうことしない』って発言のことだ」


あ、あー。そう言えばそんなこと言いましたね。



バクバクと変に高鳴る心臓と鼻息をセーブしつつ、コクコクと静かに頷く。
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