Beast Love
昔から嫌な予感だけはよく当たる白虎町の脳裏には、クラスがバラバラになるイメージが過ぎる。


(アカン、何を想像しとんねん俺は。今はマサトもアキラもトオルも、みんな上手いこといっとるとこやねん。変に悪いこと考えるな、俺……)


「……お兄ちゃん? どうしたの?」


だが、暗いイメージは止まらない。


それは徐々に、マサトの残像に影を落としていく。


「……いや、なんでもないで。このまま、平穏無事にクラスがまとまって、みんなで卒業出来たらエエなと思って」



思考とは真逆の言葉が、口をついて出る。



白虎町は病室の窓から、刻々と色を濃くしていく夕焼けを仰いだ。



(……荒れてたマサトも、今は天音ちゃんといい感じになって、落ち着いてきとる)
(頼むからこのまま春まで……持ち堪えてくれよ、運命の神様とやら……)



しかし白虎町の願いとは裏腹に……運命の女神は、違う者に微笑みを向けていた。


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