Beast Love
噂がウワサを呼び、腕っ節の強さを自慢したい不良たちが、俺を狙って集まってくるようになっていった。
くだらない意地とプライドがぶつかり合い、拳に血が滲む。
好き好んで人を殴っているわけではないが、シカトしようものなら逆上しやがる奴らが多いから、タチが悪い。
(泥沼にハマって抜け出せなくなった子鹿みたいで、バカみたいだな、俺)
桜が新緑の葉を落とす頃には、”学校イチの野生児”だなんて指をさして言われるようになった。
だが、見ず知らずの奴らに絡まれどつき合う日々は、悪いことばかりじゃなかった。
俺にほんの僅かな光を見出させてくれることもあった。
あれは、いつものように中庭で昼寝をしていた時。
「あの、鳳凰くん……」
見るからに陰キャラ、俺とは正反対の男子生徒が、頭元で手をモジモジと弄っている。
「なんだよ、誰だよお前」
昼寝を邪魔され、不機嫌気味にギロリと睨み付けてやれば、男子生徒は次に女みたいに長く伸ばした前髪をいじりだす。
「き、君とこの間、喧嘩した男子が……僕のこと、イジメてたんだ。でも、君が痛い目に逢わせてくれたから……僕、イジメられなくなったんだ」
「あー、そう」
(……売られた喧嘩を買っただけなんだけどな)
興味なさげに再びゴロンッと木のベンチに寝そべると、顔の横にバラバラとなにかが落ちてくる。
くだらない意地とプライドがぶつかり合い、拳に血が滲む。
好き好んで人を殴っているわけではないが、シカトしようものなら逆上しやがる奴らが多いから、タチが悪い。
(泥沼にハマって抜け出せなくなった子鹿みたいで、バカみたいだな、俺)
桜が新緑の葉を落とす頃には、”学校イチの野生児”だなんて指をさして言われるようになった。
だが、見ず知らずの奴らに絡まれどつき合う日々は、悪いことばかりじゃなかった。
俺にほんの僅かな光を見出させてくれることもあった。
あれは、いつものように中庭で昼寝をしていた時。
「あの、鳳凰くん……」
見るからに陰キャラ、俺とは正反対の男子生徒が、頭元で手をモジモジと弄っている。
「なんだよ、誰だよお前」
昼寝を邪魔され、不機嫌気味にギロリと睨み付けてやれば、男子生徒は次に女みたいに長く伸ばした前髪をいじりだす。
「き、君とこの間、喧嘩した男子が……僕のこと、イジメてたんだ。でも、君が痛い目に逢わせてくれたから……僕、イジメられなくなったんだ」
「あー、そう」
(……売られた喧嘩を買っただけなんだけどな)
興味なさげに再びゴロンッと木のベンチに寝そべると、顔の横にバラバラとなにかが落ちてくる。