Beast Love
白虎町くんが発した言葉の真意を尋ねもせず、飛び跳ねながらいっちゃんがその提案に食いついてしまった。

「わぁー、それ良いじゃん! 面白そう! ねっ、ノゾミん、ハルカくん。どうせなら5人で行こうよ、遊園地。その方が絶対楽しいじゃんっ」


「あのね、いっちゃん。リスクマネジメントって言葉を知ってる? 世の中には危険なことっていっぱいあってね、」

「えー、リスクって俺らのこと言ってんのー? 俺はさ、クラスで唯一の女子生徒である天音ちゃんと、仲良くなりたいだけやってー。この機会に、ぜひ遊んでみよう?」


冷静に親友を諭そうとすれば、チャラけた外野の声により、敢え無く打ち消されてしまった。


ハルカくんも、「僕も全然良いよ」と頷いている。


くそっ、なぜみんな私の味方になってくれないんだっ。


白虎町くんが机に肘をつき、横を見上げて唯一私以外であまり乗り気で無さそうなマサトに声を掛ける。


「マサトも行くやろ? 新しいクラスメイトとの、親睦〜会っ」


「面倒くせぇ」


小さなため息を吐いた白虎町くんは、背もたれに仰け反るマサトの耳元でひそひそと何かを囁いた。


「自分から、飼い主を名乗ったんやろ? せやったら、飼い主は責任持って最初から最後までリード握り締めておかなな、……ねっ?」
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